電車内で痴漢に遭ったとき、安全ピンを使うようにアドバイスされた――。こんな内容の投稿がツイッター上であり、論議になっている。
傷害罪に問われる可能性の指摘が出ているが、どうなのだろうか。安全ピン使用の妥当性ついて、専門家の話を聞いた。
■「傷害事件になってしまうのでは?」の懸念も
痴漢撃退に安全ピンを使うことについては、痴漢被害に遭ったというある女性が2019年5月中旬に相談者からアドバイスを受けたとツイッター上に投稿し、「いいね」が10万件以上も寄せられる反響となっている。
しかし、こうしたやり方については、賛否両論あるようだ。
異論としては、「傷害事件になってしまうのでは?」「そもそも的確に痴漢をする人間を刺せるのか」「暴力振るわれるリスクあるからやめたほうがいい」といった声が上がった。
一方、賛同する声としては、「余程でない限り正当防衛になる」「明らかに触られてる時ならちゃんと刺せると思う」「女性が安全ピンを持っていることが広まれば抑止力になる」などと書き込まれている。
安全ピン使用についてツイッター上で意見を書いた三浦義隆弁護士は5月24日、J-CASTニュースの取材にこんな見方を示した。
「リスクを念頭に、自己責任でやることになる」
「ちょっと指す程度なら、過剰防衛にはならず、正当防衛になる可能性があります。確かに、傷害罪には当たりますが、刑法上は、侵害行為を防ぐためとして罪にならないと思います。また、加害者が刺されて被害申告すれば、痴漢が立件されて、自殺行為となってしまいます。2度と近づかせない狙いで安全ピンを使えば、加害者が痴漢を止める可能性は大きいと思います」
とはいえ、三浦弁護士は、安全ピンを使うことのリスクも指摘する。
「刺し方によっては、本当に正当防衛に当たるのか、痴漢捜査と並行して、警察から取り調べを受けることはありえます。また、満員電車の中なら、別の人を誤って刺してしまう可能性もゼロではありません。もちろん、加害者から暴行を受けるリスクもあるでしょう。ほかの手段があるなら、やらない方が無難ではあり、積極的に推奨できる行為ではないですね」
ただ、三浦弁護士はこうも言う。
「女子中高生なら、恥ずかしがる年代でもありますので、声を上げたり防犯ブザーを押したりはしにくいでしょう。絶対に止めなさいとは言えないので、リスクがあることを念頭に、よく注意して自己責任でやることになると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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